【連載】Liv:ra 小森優美のライフスタイルD.I.Y【全10回】

変化するためには、臨場感を持ってイメージしてみよう

自由やクリエイティブは安定とは正反対のところにありますが、私たちはしばしば安定から離れることができなくなります。

脳科学者の苫米地英人(とまべち・ひでと)さんがよく言っている「ホメオスタシス」って言葉、ご存知でしょうか? 日本語で「恒常性維持機能=同一の状態」という意味です。

苫米地さんによると、人間の思考にはホメオスタシス(恒常性維持機能)があって、それがたとえ本心で望んでいないことでも、いまの状態にとどまりたいと思ってしまう傾向があるようなのです。

日常と違うことをすると、ホメオスタシス(恒常性維持機能)が働いて「元に戻さなくっちゃ! 新しいことなんてダメ!」と、いつもの状態に戻そうと働きます。

例えば、「ダイエットしよう!」と強く誓っても、翌日にはいつもと同じように食べてしまったり。「恋人が欲しい!」と思っているのに、恋の予感が始まると急に怖くなって、うまくいかない理由を探しては「やっぱりこの年になるといい男なんていないわよね!」なんて言い出したり。ワクワクするゴールを設定しても、その翌日には「なんで夢なんか抱いたんだろう。どうせ叶うわけがない。」などとネガティブになってしまったり……。

実はこれらは、まさしくホメオスタシスの働きなのです。

©Yumi KOMORI

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ホメオスタシスは、人間の持つ特性のようなものなので、ホメオスタシスを持つこと自体は変えられません(体温の調整など、生きていくうえで欠かせない部分もあるからです!)。じゃあ、私たちはどうすれば変化できるのか。それには、自分のホメオスタシスを感じる場所自体を変えることが大切なのです。

自分が変わりたい方向にホメオタシスを持っていくためにとても有効な方法があります。それは、「臨場感を持ってイメージする」ことです。

スリムになりたいのであれば、いまの自分の体や太った人の写真を見て自分を戒めるのではなく、理想のプロポーションになった自分が何をしているかを「臨場感を持ってイメージする」のです。きれいな海のプールサイドで、どんな水着を着ていて、誰といて、飲んでいる飲み物、天気、風の感触、プールの水の冷たさ、話している言葉……とにかく自分の五感をフル稼働させて、「そうなった自分、最高だな〜」なんてワクワクしながら妄想します。

最初はただの妄想ですが、何度も繰り返しているうちに、ホメオスタシスがそれを現実だと錯覚しだして、自分でも「あっ、これは実現するな」とピンとくる瞬間が来ます。それが、ホメオスタシスがいまの自分から理想の自分に変化した瞬間で、その後はホメオスタシスが理想の自分へ変化させてくれます。ホメオスタシスは、恒常性維持がお仕事だからです。

私たち人間は本能的に安定を求めていますが、向上心を持ち、変わりたいと思っているときは、変化を求める生き物でもあります。変化したいときは、無理に変わろうと頑張ってしまうのではなく、上記のホメオスタシスを変えることや、日常自体を変化させてみるのもいいかもしれません。例えば、住むところを変えてみたり旅に出てみたり、あまり知らない人のパーティに出かけてみたり……。いつもと違う場所に出かけることは刺激的で、自分の感じ方の変化に気づくことができるでしょう。

そして逆に日常に突然変化が訪れたときは、その変化にワクワクしてみましょう。「失恋した!」「仕事でミスをしてしまった!」など、一見不幸の始まりのように見える現象は、実はあなたのホメオスタシスを変化させるタイミングでもあるのかもしれませんよ!

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