【連載】Liv:ra 小森優美のライフスタイルD.I.Y【全10回】

好きなことの探し方

私は「世界中の人が好きなことをして生きれば世界が平和になるから、みんな好きなことをして生きよう」という旨の文章を書いているのですが、読者の方からよくいただく質問があります。

それは「好きなことはどうやって見つければいいんですか?」という質問です。

物心ついたときから音楽に触れて、「俺には音楽しかないんだ!」って言える人は本当に幸せですよね。でもそんなものがない人もたくさんいると思います。

人はやっぱり、やりがいや生きがいを求める生き物で、与えられたものをこなすだけのルーティンワークの日常はどこか退屈。だから趣味でもいいから好きなことをしたいけれど時間もないし、そもそも自分が何が好きかが分からない。私が好きなことっていったい何? ーーこんなことを思いながら悶々として生きている人も少なくないのではないでしょうか? 私自身もそうでした。

好きなことは、おおげさに考えるから見つけにくいだけ

「好きなことをしよう」って、あらためて言葉にすると、好きなことが思い当たらない人にとっては、やりがいや生きがいにつながる人生を賭けた好きなことを見つけるなんて、とても重たくてハードなことに思えて耳を塞ぎたくなってきます。でも、「好きなこと」って、そんなに大きなことではなく、おおげさに考えてしまうからよけいに見つけにくくなるだけではないでしょうか。そばにありすぎて、自分の中では当たり前すぎて、気づいていないだけという場合がほとんどだと思います。

©Yumi KOMORI

©Yumi KOMORI

初めから好きなことが見つかっている人は少ない

先に挙げたとおり、音楽が好きで音楽をライフワークにしたい人がいるとしましょう。でも音楽に関わる仕事は、一つじゃありません。アーティスト、音響、作詞、作曲、プロデューサー、ライブハウスオーナー……たくさんの人が関わって初めて「音楽」が成り立っています。

ここで大切なのは、たとえば「プロデューサー」が、初めからプロデューサーを目指していたか? ということです。もちろん目指していた人もたくさんいると思うのですが、音楽が好きで業界に入り、「好きな方向を追いかけるうちに自然とそうなった」人が多いのではないでしょうか?

アーティストがライフワークなら、とっても分かりやすいですが、歌うよりも、プロデュースするほうが得意な人もいるし、音楽に歌詞をつけることが上手な人もいるし、最高の音を響かせる空間を作ることが楽しい人もいます。一括りに「音楽」の世界と言っても、本当にたくさんの人の才能がミックスされています。

その才能ある多くの人が、初めからそれを目指していたかというと、そうでもないと思います。それよりも目の前の興味のあることに夢中になってきた結果、自然とその職に就いた、という人が多いのではないでしょうか。

まずは日常の中で没頭してみる

最初からゴールを見ながら進むことも、素敵だと思います。だけど「そんな先のこと、分からないよ」と、思う人は、遠い未来のことよりも目の前にある興味をそそられることに夢中になってみてはどうでしょうか? それがどんなことにつながるか、なんて分からなくていい。何か見つけなきゃ、って焦らなくていいんです。

最初から大きな場所を目指すのではなく、日常にある楽しいこと、好きなことをしている瞬間、何かに没頭している瞬間を味わおうとすること。そして、その中で生まれる「こういうことしてみたいなぁ」「こんなことしたら楽しいかも」という思いつきや衝動を、人の評価や結果を気にすることなく表現してみること。そういった日々のなにげないアクションが、自然とライフワークにつながっていくのだろうと思います。

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