ガラスに光を包んで……「matsurica」作品のやさしい輝きのヒミツ

2015. 7. 21

淡くやわらかな輝きを放つ「matsurica(マツリカ)」のアクセサリー。まるで光をわたあめに包み込んだように、ふんわりと優しいその素材はガラスです。

光の表情を出すために、鏡を貼り合わせて反射を利用したり、あえて表面を曇らせて色の強さを抑えたり、見え方や変化を追求しています。

一度は辞めてしまったガラス制作

古川さんは、美術大学でガラス工芸を専攻。特に吹きガラスが好きだったそう。卒業後、美術教師として就職してからも、少しずつ工房に通って吹きガラス制作を続けていました。しかし、一度は制作を辞めてしまったといいます。なぜ辞めてしまったのか、そしてそんな古川さんを、もう一度ガラスに向き合わせたきっかけはなんだったのでしょうか?

器やオブジェを作ってギャラリーで展示させていただいていたんですけど、工房は遠くにしかないうえに、レンタル代がすごく高い。卒業したてで未熟なので、作ったものが全て作品として出せるわけもなく、資金がどんどん追い付かなくなっていきました。

吹きガラスは、一人で制作する作家さんもいますが、基本的に二人で作る共同作業。古川さんも、学生時代には友人たちと楽しく作っていたのが、いつしか楽しいものでなくなっていったそうです。

レンタル工房で知らない方と作るのはどうしても気を使うので、だんだん疲れてきてしまって……。共同作業に向いてなかったんですね。精神的にどんどん辛くなっていきました。

また当然のことなんですが、大学出たてだとお客さんもおらず、ギャラリーに出してもなかなか売れません。そんなことが続くうち、だんだん制作に向ける気持ちがなくなっていってしまったんです。

そんな気持ちになんとか区切りをつけようと、古川さんは教師を辞め、学童保育の講師に転職。その頃は、ほとんど作ることはしなくなっていたそうです。

でも、そんな古川さんをもう一度ガラスに向き合う気持ちにさせてくれたのは、子どもたちの笑顔でした。

子どもたちとお絵かきや工作をしていたら、すっごく楽しくて。「私もなにか作りたい!」って気持ちが湧いてきて、自然とアトリエに足が向きました。

自分のこの部屋でできることで、仕事をしながらストレスなく、好きにやれることをやろう――そうして身の回りの道具と技術で辿り着いたのが、いまの「matsurica」のかたちでした。

matsurica-6

アクセサリー以外にも広がる「matsurica」の輝き

最初にこの技法で作ったのはペーパーウェイト。でも、人の動きに合わせてキラキラしたらぜったいキレイだと思って、ピアスを作りました。そしたら、なぜだか分からないんですけど、すごく人に見せたくなったんです。

だけどしばらく作っていなかったので、いっそのこと全部一からやり直そうと思って、「matsurica」という名前で、手作りアクセサリーを販売するサイトに登録しました。こういうやり方なら、続けていけるかなって思ったんです。

今後は、この技法を生かして、アクセサリー以外のプロダクトも作っていくそう。ガラスケースやオブジェ、器なども作っているまっただ中です。

いまは作るのがすごく楽しい。もっとこの表現を広げていきたいです。のんびりしていちゃいけないのかもしれないのですが、マイペースで作っていきたいですね。

そう話す古川さんの笑顔も、「matsurica」のガラスと同じように、優しくキラキラと輝いていました。

matsurica

Website:http://www.matsuricaglass.com/

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