【連載】Inside Closet

ダイヤモンドからワインへ。イスラエルからやってきたおしゃれ好きのCEO ――Yael Namdar

A Picture of $name Viola Kimura Photography: Takuma Itoi 2016. 11. 23

装いに潜む人生やパーソナリティを紐解く新連載。記念すべき初回のゲストは、遥か海の向こうからやってきた女性CEO!
グローバルな舞台での宝石業を経て審美眼を兼ね備えながら、飾り気なくチャーミングな人柄の彼女。これまでどんな経験を積み重ね、いま東京でどのような生活を送っているのか。都内の自宅に私たちを快く迎え入れ、ファッションについてはもちろん、子ども時代の話から現在のポリシーについてなど、惜しげなく話してくれた。

Yael Namdar(ヤエル・ナムダー) Namdar Wines CEO。15年家業のダイヤモンド企業に務めた後、来日。食とワインをこよなく愛し、現在はイスラエルワインを日本に輸入する事業を手がける。

Yael Namdar(ヤエル・ナムダー)
Namdar Wines CEO。15年家業のダイヤモンド企業に務めた後、来日。食とワインをこよなく愛し、現在はイスラエルワインを日本に輸入する事業を手がける。

Who are you? What do you do?

―― ご出身は? 自己紹介をお願いします。

Yael Namdar。イスラエル産のワインを日本に輸入するビジネスをやってるの。以前は、父の経営するダイヤモンド会社で働いていたわ。

Diamond to wine…. that’s a big change!

―― ダイヤモンドからワイン……それはまた大きな変化ですね。

いまは縮小したけど、私が働きはじめた頃、父の会社は、世界中に子会社があって、世界でも有名な大企業の一つだった。

辞めたのはやっぱりストレスかしら。最終的に私は副社長になって、たくさんの部下がいて、責任もたくさんのしかかっていて、プレッシャーは半端じゃなかった。

父は道を切り開くアントレプレナーシップに溢れていて、父の姿を見ながら、私も同じような経営者になりたいと思ったし、自分も同じタイプの人間なんだって思ってたわ。

ただ、同じような人間の意見が割れると大変で、経営についてよく父と意見が対立したわ。そういうのもストレスだったわね。

でも、仕事じたいは本当に大好きだった。ユニークだしとってもおもしろい仕事よ!

「渋谷が大好き!」と話すYael。現在は渋谷にある友人の家に住む。

How was diamond business like?

―― ダイヤモンドの仕事ってどんなことをするのですか? その仕事から得たものは?

父の下で仕事を始めたとき、私はなんでもやったわ。私は秘書であり、鑑定士であり、工場では研磨士でもあった。

ダイヤモンドの仕事の中身は、長らく明かされてこなかったから、きっと想像できないと思うけど、かいつまんでいうなら、とんでもなく大きな「価値」が、とんでもなく小さなものに詰まっているビジネス。だから、「ズル」をするのもすごく簡単なの。

相当の知識がなければ、この小さな透明なツブに500円の価値があるのか、500万の価値があるか見分けるなんて至難の業。だから、「信頼」が非常に大切な産業なのよ。他のビジネスとくらべても、「信頼」がビジネスに占める割合がとても大きな産業じゃないかしら。

私自身仕事で「信頼」をすごく大切にしているのは、そういう産業にいたからっていうのもあるけど、素晴らしい家族に恵まれたからっていうのが大きいわ。私の父、叔父は信頼すべき人、正直な人として有名だったくらい。

リラクシングなレイドバックスタイルがお気に入り。とろみのある生地のオールインワンはディナーにパーティ、休日の定番スタイル。

リラクシングなレイドバックスタイルがお気に入り。とろみのある生地のオールインワンはディナーにパーティ、休日の定番スタイル。

From Isreael to Japan… that’s another big change. When & why did you come to Japan?

―― イスラエルから日本へというのも大きな変化ですが、日本に来たのはいつ? なぜ?

2012年に会社を辞めてから2年間はボランティアや旅行をして過ごしてたの。人生で初めて「自分の時間」を過ごした期間だったわ。

2014年10月、その中で従姉妹と初めて日本に旅行に来たの。最初は日本に住むつもりはなかったけど、来てみると離れられなくなっちゃって……! 東京は、すばらしいわ! 人生で最もユニークでベストな時間を過ごしていると思う。

それに、子どもの頃から日本のカルチャーに触れてきてたから、憧れもあったわね。マンガやアニメを見て育ったもの。イタリアとフランスはヨーロッパの中でも特に日本のカルチャーに影響を受けているんじゃないかしら。イスラエルにはマンガやアニメはなかったから、イタリアの叔母が録画して送ってくれるのが、小さい頃の楽しみだった!

だから日本にはずっと来てみたかったのよ。いまはイスラエルと日本を往復しながら暮らしているわ。

How is Tokyo treating you?

―― 東京はどうですか?

もうすばらしい街よ! 東京は本当に美食の街。なんだってあるわ。

東急百貨店本店に行けば、アメリカンワイン、オーストラリアンワイン……なんでも手に入るほど豊富なバラエティを抱えられる、キャパシティのある街ね。だって、インド・ワインすらあるのよ。大多数のインド・ワインは「まずい」とされているのに、東急百貨店本店が選んだものなら、間違いなく良いものよね。

でもワイン市場を牛耳っているのは、やっぱりフランスだったりする……。そういう場だからこそ、チャレンジしがいはあるわよね。どこかにチャンスはあるわ。

だけど、想像以上にハードでもあるわ。特に、言語が通じないのがハード! だって私はおしゃべりが大好きだし!
ワインの魅力を伝えるのに、言葉はすごく大切なのよ。私が取り扱うワインには、どれもそれぞれ、ストーリーに溢れたものばかり。それを伝えられないのは、ダメージが大きい。

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What was the most important lesson from your father?

―― そしていま一人でビジネスを展開しています。お父さまと働いた経験から、いまに生きていることは?

ワインの仕事を始めるより前、いっしょに働いている頃から口を酸っぱくして言ってたことだけれど、父はいつも「常に足を使え(you need to go door to door)」と言ってたわ。

販売元まで自分で行き、自分の舌で味を確かめろ。自らの手でスーツケースに詰め込み、顧客のもとへ行け。自らの言葉で説明し、カタログを手渡せ。メールを送り、返事がなければもう一度送れ……そんなこと。

How is your day like?

―― あなたの一日について教えてください。

ある日は朝寝坊して気ままにショッピングをして一日が終わるときもあるし、ある日は早起きして朝からメールを送りまくって一日が終わるときもあるし……。その日の気分で、一日なにをするか決めるの。

だからか、日々の過ごし方に、仕事とプライベートの区切りってあまりないかもしれない。だって、仕事に絡んだお食事会で、いまのパートナーと出会ったし、友人との気楽な飲み会の場で、重要なビジネスチャンスに出会うこともあるし。

ワインビジネスについて、私が大きな情熱を持って取り組んでいると思われているけど、実際、ゆるゆるよ。丁寧に、いろんなことに、時間をかけること。一日掛けて掃除をしたり、料理を作ったり、ものごとをゆっくりこなすことを、自分に許可したの。

もちろん、家族が恋しかったり、友人が帰国したり、仕事がうまくいかなかったりすると、けっこう不安な夜もあるのよ。鏡に向かって座り込んで、大泣きする夜だってあるわ。今週末は外に出る気分じゃなかったから、Netflixで「Narcos」のシーズン2を全部見たわ!

でも、落ち込んだときはやっぱり外で友人たちに会うのがいちばんね。一人になったら深みにはまるから、アクティブでいることを心がけているわ。最近はバイクの免許も取ったの。

世界中を飛び回るYaelは、アクセサリーは全て持ち歩く。小分け袋に一つずつ詰めたポーチがアクセサリーの全て。どれも貴重なもの。

小分け袋に一つずつ詰めたポーチがアクセサリーの全て。世界中を飛び回るYaelは、お気に入りのアクセサリーは全て持ち歩く。どれも貴重なもの。

Which restaurant would you recommend in Tokyo?

―― では、東京のレストランでオススメは?

わぁ! 難しい……! ミシュランの星付きのレストランだっていくつか行ったけど、コンビニが大好きなの! ファミリーマートがいちばんね!

Where do you shop?

―― 服はどこで買う?

よく家族でも世界中を旅行したけど、いちばん買い物をしたのは、ニューヨークの「Opening Ceremony」。日本なら「Opening Ceremony」はもちろん、「Wut Berlin」かしら。個性の強いお店が好きかも。高いからセールのときしか買わないけど!

あと、日本に来て覚えたのが「古着」! 日本の古着はとにかく状態が良いからびっくりしちゃった。ほかの国だとほとんどボロボロなんだもの。

ただ、20代の頃といまでは、お金をかけるポイントが変わってきたのよ。昔は、同じ靴を色違いで3足買ったりしてたけど、いまは、もっと人を家に招いておもてなしするためのものだったり、食べ物にお金をかけるようになったかしら。

それに、お買い物をするには、必要に迫られたりちゃんとお買い物気分にならないとする気になれないのよ。

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How would you describe your style?

―― あなたのスタイルとは?

服を買うとき、いちばん大切にしているのは肌触り。組成表示は、ぜったい見るの。暑いからポリエステルが苦手。肌に触れたときの心地良さが最も大事かしら。

「TOPSHOP」、「Chloe」「Comme des Garcon」、あとはおみやげもののポンチョまで……なんでもミックス&マッチするのが好き。

「私はこういうスタイルよ!」って主張があるわけでもなくて、カジュアルで、自分が居心地良くいられるスタイルが好きよ。

Where did you got your style?

―― あなたのスタイルをつくったものはなに?

実を言うと、私をよく知る人からすると、「Yaelがおしゃれ」だなんて、おかしな話だと思われるのよ(笑)。

まるで本当の姉妹のように育った従姉妹の姉が、私のスタイルアイコン。彼女はむしろエキセントリックな部類よ。みんな彼女のスタイルを見てびっくりするときだってあるもの!

すごいインスピレーションを与えてくれるし、いっしょにショッピングに行くと、服を見立ててくれるわ。あとは友人のViviね。

この2人が私のスタイルを私よりよく知ってるかもしれない! 私はせっかちだから、服を試したりあれこれ見たりなんてできないんだけど、彼女たちは服を吟味・比較検討する忍耐力があるのよね。

How about your accessories?

―― アクセサリーづかいが印象的! あなたのスタイルの最も象徴的な部分かもしれないわね。

ここにあるアクセサリーは、友人からのプレゼント以外、全部母から譲り受けたもの。母が自分の祖父からもらったものもあるの。50年、70年前のものもあるけど、純金で色が変わらないの。イエローゴールドが私の色だなって、しっくりくるわ。

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クローゼットの中から立ち振る舞いにいたるまで、相手を魅了し楽しませるスピリットを感じさせてくれたYael。それは彼女の仕事そのものにも通じており、また世界中を巡る経験があったからこそ。エキサイティングに東京で暮らす彼女の今後にも期待。ぜひワインショップもチェックして。さて、インタビューに登場した、Yaelのスタイルへ大きな影響を与えているというViviが、本企画のインタビューに応じてくれることに! どんなクローゼットをお披露目してくれるのか、ご期待あれ。

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