アートで伝える原爆 ニューヨークのアーティストとジャカード織りで表現

2015. 8. 6

アートを通じて戦争や核兵器の廃絶を目指す活動「ピカドンプロジェクト*1」。その中に、播州織の生産者が協力した作品がある。アメリカ・ニューヨークのアーティスト、キャノン・ハーシーさんの作品だ。同氏の写真作品を3Dジャカードで織り出し、布で再現。作品を通じて戦争の記憶と平和を訴えた。

アートイベント風景(タペストリー) 画像 西脇市提供

織られたのは、ハーシーさんが広島で得た体験から生まれた作品群「Shadow People Project」の一部やドローイングなど。それらをジャカード織のタペストリー作品合計3枚を仕上げた。手がけたのは、西脇市の産元商社「丸萬」と織布業「遠孫織布」。タテ糸とヨコ糸の絡め方で、1枚の布を傾けると、模様が立体的に見える独自の技術を用い、写真や筆致の奥深さまでリアルに表した(下写真)。

描かれたテーマの一つ「Shadow People Project」は、原爆が投下されたとき、あまりに高温の熱戦に、影が壁や道路等に焼き付いて残ったことにインスピレーションを受けたもの。「彼らの影は、初めて原爆によって『名も無き人』にされてしまった人たちの影」と、ハーシーさんは説明。

平和について考え、動き出す人びとの「影」を、広く一般から写真として集める参加型のプロジェクトとしても運営されており、集められた写真は、世界各都市で巨大プロジェクターを使って投写している。被爆者へのオマージュを捧げ、その記憶を未来へつないでいくという。8月6日午後6時から、ニューヨークでも有数のパブリックスペース・Anita’s Wayでアートと音楽、映像プロジェクションのイベントを行い、市民への呼びかけも行う(*2)。


※1……ピカドンプロジェクトとは、イラストレーターの黒田征太郎さんらが呼び掛け、2004年に始まったもの。原爆投下から70年経つ今年、同プロジェクトでは、戦争の記憶、被曝の記憶を新たに刻み次世代に伝えていくため、さまざまなアートイベントやワークショップを実施している。

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