【連載】我的上海的生活【全10回】

【最終回】ECに市場、中国・ニセモノ事情を再びレポート! ニセモノの「背景」についてさらに深く考えてみると……?

A Picture of $name Kasumi SAITO 2014. 6. 3

你好! プラタナスの新緑が心地良い上海からです。私の上海生活もまもなく2年半が過ぎようとしています。実は、この第10回目をもって、この連載は一度終わります。

この国での2年は毎日めまぐるしく、日本で生活していたときと比べたら倍のスピードでモノゴトが進んでいったように感じます。ボケっとしていたら中国という国のスピードに飲み込まれそうになるほど、日本とは全く違う性質を持った国。

ここでいろんなことを吸収しようとすればするほど、常に自分の価値観について問われている気がしました。

そしていままで自分がなんとなく自然に身につけてきた「価値観」なんていうものは無意味だったのだな、といまは感じます。そうです、ここで私は良くも悪くも今まで持っていた「価値観」を全てぶち壊されてしまったのです。

第1回目の記事で、ニセモノ市場について少しお話しましたが、中国にいると、この「ニセモノ」は避けては通れません。ということで最終回は、横行するニセモノ商品について、再びその裏側に迫っていきたいと思います。

新緑のプラタナスが美しい上海の町並み

新緑のプラタナスが美しい上海の町並み

そもそもニセモノって一体何なのでしょう?

ネットショッピングはとても便利な反面、実際に商品を手に取って見ることができないことを利用してニセモノも横行しやすいものです。日本でもネットショッピングで洋服を買った経験がある人は、「届いてビックリ!」「想像と違った!」という経験がある人も多いのではないでしょうか? 写真と実際の色味が違う、素材が安っぽい、縫製が悪い、これ本物だろうか……? などなど。もちろん、良い品物を買うこともできますが、納得できない品物があることも事実です。

特に中国のECサイトではこんなことが頻繁に起こります。ECサイト上で希望のファッションアイテムを検索すると、商品写真が全く同じ商品でも、値段の幅が実に広いことに驚きます。ぜひ、淘宝(タオバオ)内で、好きなブランドを検索してみてください。そのブランドの同じデザインの服が、正規価格のものから数百円というものまで、何十件もヒットすると思います。

中国のECサイトで販売されている日本の人気ブランドの商品ページ。左は日本円で約1,300円。右は約2,700円。本来このブランドでは10,000円はするもの。

中国のECサイトで販売されている日本の人気ブランドの商品ページ。左は日本円で約1,300円。右は約2,700円。本来このブランドでは10,000円はするもの。

一体これはどういうことか!? というと、正規品を販売しているお店と、さまざまなランクのニセモノを販売するお店とが混在しているから。「さまざまなランク」としたのは、正規価格に近い値段の完全コピー商品から、「ちょっと似ている」「割と似ている」というような、「たぶんデザインの出どころはあのブランドだろうな~」と推測できる商品とがあるからです。

ニセモノって何? 〜ニセモノECの事務所に潜入!

少し前に、知人の紹介でタオバオに出店している人に出会いました。中国でも人気のある日本の雑誌「SWEET」系のファッションブランドを集めて販売しているそうです。価格は日本よりもかなり安い設定ですが、タオバオ上の店舗ページを見ると、某ブランドの写真をそのまま使っています……。これは、ニセモノのにおいがしてきましたね……。

では実際の商品はどうなのでしょうか? いざ、ニセモノ商品を扱う現場に潜入! Gメン気どりで現場に向かいました。そこは意外とこじんまりとした雰囲気で、普通の住宅街に建つマンションの一室を倉庫として利用しています。その倉庫兼事務所の一室でパソコンと向き合い、一人で出荷作業などもこなしていました。

マンションの1室の倉庫の様子

マンションの1室の倉庫の様子

やはり商品は、コピー商品を作る工場から仕入れているそう。でもかなり本物に近い出来栄えです。もしかすると、本物を生産している工場のB品なのかと思うほど良い出来栄えのものもありました。

これは中国に来てから身につけた(必要ない)技術の一つですが、本物とニセモノの見極めるには、洋服の左裏側に付いている洗濯ネームを見るとだいたい判断できます。第一に、ネームが付け替えられているものはいかにも怪しいです。また日本語をコピーするのは難しいようで、絶対と言って良いほどニセモノには誤字脱字があります。ひらがなであるべき箇所がカタカナだったり、漢字の送り仮名が間違っていたりします。

もしそんな商品に遭遇したら「買わない」と判断する人、そもそも本物のブランドがあったことも知らないという人はいいのですが、問題なのは「そんなの気にしない」という人がいることです。「そんなの気にしない」という人がこのニセモノ市場の需要を作りどんどん盛り立てる役割を担っています。

→Next:ニセモノって何? 〜再びニセモノマーケットに突入!

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