【連載】我的上海的生活【全10回】

広州の巨大生地市場へ潜入!

A Picture of $name 斉藤 霞 2013. 8. 5

你好! 暑いです! みなさん夏バテなどしていませんか?

私は会社を辞めてから2カ月間、中国語の学校に通っていました。朝から夕方まで授業を受けるのは久しぶりだったので、正直、仕事よりハード(?)に感じてしまいました……。毎日帰宅するなり宿題……しながら居眠り……。そんな慌しくもとても充実した毎日を過ごせたのは、語学学校が大学内という環境の良さと、素敵な先生方と優秀なクラスメイトに恵まれたお陰だと感謝しています!

地下1階、付属品エリア

このビルの地下1階は付属品(※洋服の生地以外の部分、リボンやレース、ボタン、ファスナー、ビーズなどの装飾品のこと)のフロアになっています。これまただだっ広いワンフロアにぎっしりとお店が並んでいて、じっくり見ようとしたら1日では足りないほどです。たぶん手作りするのが好きな人がここに迷い込んでしまったら迷宮入りしますね。それほど大量の付属品が並べられています。

付属品のフロアではスワッチのような見本は置いてないことが多いです。ですから、各お店に交渉してリボンやレースなどは見本用に少しカットしてもらったり、ボタンやビーズなどは大量でなければ見本をもらったりします。もちろんこちらも在庫があればその場での購入も可能です。

その際、お店の名刺をもらうのを忘れずに! どのお店で何をピックアップしたのか、後で整理するのに役立ちます。

(左)ボタンコーナー、(右)装飾テープコーナー。いずれも大量!

(左)ボタンコーナー、(右)装飾テープコーナー。いずれも大量!

どんなものがどれくらいの価格で売られているの?

このように洋服を作るための材料の資料を集めていくのですが、ファストファッションをやっていくうえでは、この作業のときに価格もチェックして「いくらで作れる」または「いくらで売る」商品にするのかということも考えます。

広州市場の生地や付属品は中国国内でも特に安いとされています。生地は素材によって価格差が大きくわかりづらいので、付属品を例にどんなものがどれくらいの価格で売られているのかチェックしてみましょう。

広州市場-参考価格

広州市場-参考価格

この参考価格を見ると、かなり安いのが一目瞭然ですよね! しかしこの価格こそが大量消費への悪循環だとも思うのです。市場でこの価格ということは、このリボンを作った工場はいくらもらっているのか? そこで働く人たちはいくらで作っているのか? などと考えてしまうのです。もちろん、物価の壁がによる仕方ない部分もあります。ですが、このビーズ刺繍を1M縫っても、いろいろ差し引かれて実際に工員さんの手元には5円くらいしか残らないのでは? それだといまの中国の物価から考えると安すぎる感じが……。そうなると工員さんだって人間ですから「手抜き」を始めてしまうこともあるでしょう。そして……

「中国製は質が悪い」「安っぽい」などの代名詞が産まれる。

でも日本のマスのファッションを作るためにはこのような市場のものを使わないと値段が合わない。

しかも急ぎの発注。時間が足りなくてまた工員さんは手抜きをしてB品続出。

結局、長く愛用できない服ができる……

と、このような流れが生まれてしまうのでは?

市場のこのような現状を知ると、モノを作る立場としても、モノを買って着る立場としてもモノを見る目が変わってきませんか? もちろん、市場の中にはきちんとしたモノもたくさんあります。長年諸外国から大量生産を強いられたこの国の生産背景には「きちんと作れば多少高くても売れる」「きちんと作れば継続的なオーダーが来る」そういう考え方がまだまだ浸透していません。微力ではあるけれど、今後の活動の中で生産者側の意識も変化していくように関わっていけたらと考えています。次回の我的上海生活もお楽しみに!

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