【連載】我的上海的生活【全10回】

上海のリアルライフ~恋愛&ファッション編〜

A Picture of $name 斉藤 霞 2012. 7. 30

你好! 上海にも雨の季節が訪れました。私の住んでいるエリアは旧フランス租界として知られ、アール・デコ様式などのヨーロッパ調建築が今も数多く残っています。過去を遡れば複雑な歴史が展開された場所ですが、いまではその景観を保護し、お洒落なカフェやレストラン、ショップなどが並んでいます。休日は、上海っ子も外国人も観光客も訪れる人気スポットとなっています。

私は、この通りの並木道を雨の日に散歩するのが最近の楽しみで、上海の梅雨を満喫しています。特に夜は、車の通りも少なく、雨に濡れた路面に街灯の灯りだけがぼんやりと反射してなんともロマンチックな景色になるのです。

ロマンチック通り(c)Kasumi Sasaki

中国といえば、いまや世界の一大生産拠点となり、私たちは日常生活において「MADE IN CHINA」の文字を見ない日はないと思います。前回お話したように、私は「何がエシカルかを発見するために現場へ行きたい」という思いからここに来ました。しかし最近、自分の視点の変化を感じています。「世界の生産拠点」としての中国よりも、もっと個人的な部分に入り込んだ中国を見ているように思います。

たとえば、縫製工場で働く人の仕事以外の生活のことです。どこで買い物して、食事して、どんな趣味を楽しんでいるのか? いま好きな人はいるのかな? あの人は結婚しているのかな? など……いままで彼らに対してそこまで具体的な想像を働かせたことはなかった気がします。それが物理的な距離が近くなったことで、心を通わせたいという思いがより強くなっているのだと思います。「ある生産拠点」ではなく「夫婦で経営していて、息子と娘がいる。休日は家族で近所のモールへ行く。紹興酒が大好きで、安いネイルサロンを教えてくれた王さん(仮名)の工場」という方が、最近の私の視点にしっくりときます

そこで今回は、「上海的真的生活~上海のリアルライフ~」と題して恋愛事情!? とファッションの関係について書いていこうと思います!

中国恋愛事情♡~障害があるから愛は燃える~

日本と比べて明らかに違うのは、街中どこでも恋人たちが堂々とキス&ハグしていることです。これは私にとってかなり驚きでした。以前、東南アジアの国々を旅したときにはそういう光景はあまり見られなかったので、日本をはじめアジアの人々はシャイな性格なんだろうな~と勝手に予想していました。

けれどここでは違います。買い物中もおもむろにキスしたり、地下鉄のホームでは帰り際の何組ものカップルが名残惜しそうに抱き合ったり、縫製工場のお昼休みに仲良く手を繋いで食堂へという光景も。みんな自由に街中で愛を表現しています。そんな光景を見かけるたびに心温まります。

ある友人から聞いた告白ストーリーですが、「とある男性の学生時代、好きな女の子の寮の庭に、赤いバラを大きなハート型に並べてその中心に彼が立ち、寮の窓から顔を出した彼女に愛を告白したんだよ」と。「寮のみんなが見てる前ですごいね~!」と私が返すと、「ここでは普通だよ。よくある話だよ」と言っていました。

私が来たばかりのバレンタインの頃にも驚くことがありました。毎朝出社後まもなく、午前中は宅配便でたくさんの荷物が届きます。

しかし、2月14日。その日はいつもと何かが違っていました。たくさんの荷物のほかにたくさんの花束が次々に届けられてくるのです。日本以外の国では男性から女性へ気持ちを伝えるイベントだと知られていますが、ここ中国もそうなのです。男性は恋人や妻が働く職場へ花束を贈るのです。もしくは仕事の合間を縫って大きな花束を抱えて自ら届けに来る人も見かけました。とにかく愛に溢れている、そんな印象を受けました。

こんなふうに日常のあちこちに愛が溢れているのは、この国のライフスタイルと関係しているようです。

ほとんどの場合、日本と同じように高校生までは親元で家族と一緒に生活します。日本の若者はその後大学進学、就職などそれぞれの道へ進む過程で実家を出ることが多いと思います。こちらでは、大学へ進む者は通える範囲であれば実家から通学し、地方から出て来た学生はたいてい大学の寮へ入ることになります。公共機関の交通は終電が早かったり(pm10時台で終わります)、寮は門限があったり。実家はもちろん家族がいるし、寮は複数人でのルームシェアだったり。若い恋人たちがデートするにはいろんな制限があるのだろうな~と思います。そういった制限があるからこそ、恋に燃えるのかもしれませんね……!

ペアルック率高し!(c)Kasumi Sasaki

→Next:上海カップルデートファッション♡ どこで上海っ子は買っているの?

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