【連載】古都フエで生まれるPhuhiepのものづくり ~女性アーティザンたちのサイドストーリー~【全8回】

いざパリのファッションウィークへ

A Picture of $name Phuhiep 2014. 10. 24

今秋もファッションウィークシーズンが到来しました。ニューヨーク、パリ、ロンドン、ミラノなど各地で来年の春夏コレクションが発表される、華やかな季節です。その中でもフランス・パリコレクションは格別。世界各国のバイヤーやプレスの人々が集まり、最新のモードをチェックする重要な機会です。会期中は、パリ市内のあらゆる場所で各ブランドの新作が披露され、モードの街・パリがファッションに沸く1週間です。

この秋もパリコレ・ファッションウィーク中に大盛況の中行われた展示会「THE BOX」で、「Phuhiep」も最新コレクションを発表しました。

新作コレクションをパリの展示会「THE BOX」で発表

日本国内での発表に先駆けて、先月パリで開催された展示会「THE BOX」。毎シーズン、厳しい選択基準をクリアした世界各国のファッションブランドのみが、アクセサリーやバック、スカーフなどのコレクションを発表展示をゆるされる展示会です。そんな権威ある展示会に参加する。それも、「エシカルだから」ではなく、「アクセサリーブランドとして」です。

「THE BOX」会場の様子。およそ100ものブランドが国内外から集まりました。

「THE BOX」会場の様子。およそ100ものブランドが国内外から集まりました。

発表したコレクションは、絹糸を使って編み上げた細やかなモチーフや、シンプルなデザインの中に効果的に取り入れたゴールドなど、大人の女性を魅せるアクセサリーの数々に仕上がりました。もちろん一点ずつベトナムのアーティザンたちがハンドメイドで仕上げたものです。シルク特有の美しい発色としっとりとした質感、さらに京都出身のデザイナーによる繊細な造形と、古都フエの女性たちの丁寧な手仕事に、欧米人バイヤーの方からも上々の評価で、多くの学びと手応えも感じました。

「THE BOX」では、どなたも熱心に話を聞いてくださいました。

「THE BOX」では、どなたも熱心に話を聞いてくださいました。

腕を磨いてきたアーティザンたち

なにより、この世界で勝負する舞台に来られるまで、腕を磨いてきたアーティザンの努力を誇りに思っています。あのルンをはじめとする「Phuhiep」のアーティザンの多くは、教育を受けずに育った元船上生活者の親の元に生まれ、貧しさの負の連鎖を自ら断ち切ろうと訓練を積み、いま、私たちとともにプロフェッショナルとして仕事をするアーティザンとして自立の道を歩み始めたところです。

パリの展示会場で、アーティザンたちへ掛けられた言葉は「かわいそう」ではなく「素晴らしい」でした。彼女たちはもう「かわいそうな女の子」たちではない。自立した女性アーティザンとしてパリのファッションウィークの舞台に立っていることを、彼女たちとともに分かち合いたいと思います。
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「かわいそうだから」ではなく「あなたが作ったものが美しいから」と言われるよう、一流の場で勝負していきたい。ベトナムから世界へ発信するアクセサリーブランドとして厳しいマーケットで勝負して認められる。アーティザンの女性たちが自尊心を取り戻し、誇りを持って生きていけること。

まだまだ道半ばではありますが、私たち「Phuhiep」の考える、マニュファクチュアビジネスそしてソーシャルビジネスの理想に一歩近づくことができたような気もしています。

(次回へ続く)

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