【連載】KAITAI DISCOVERY 〜解体して発見するモノの裏側〜【全5回】

『使い捨てカメラ』を解体してみた

A Picture of $name 中家 幸太 2016. 5. 18

普段目にする、周りにあるモノたち。
使い方は知っているのに、中身がどうなっているのか、そしてどんなしくみで動いているのかは分からない。

開けて中を覗いてみたら、不思議な世界が広がっていて、おもしろい発見があるかもしれない。

解体(Kaitai)を通してモノの裏側に隠れている秘密を発見(Discover)。モノに対する常識やイメージを一新させ、私たちの世界観をほんのちょっとだけ、広げてみたいと思っています。

カシャッと鳴る音は、どこから出ているものなのか。そこで次は、レンズを取り外してみます。

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レンズの下になにかあります。……なんでしょう?

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出ました! これが、シャッター!

指で動かしてみると、ドアのように開閉します。

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動かして、手を離すと、カシャッという音と同時に、シャッターの横側に付いているバネの力で、シャッターが元の位置に戻ります。

この時の「カシャ」っていう音が、シャッターボタンを押したときの、音の正体だったんですね。

ボタンが押されたとき、シャッターは一瞬で、開いて閉まるという動きをします。

なぜ、こんなしくみになっているかというと、レンズからフィルムに入る光を制御するため。

シャッターを開けっぱなしにしてしまうと、光が入り過ぎてしまい、現像した写真は真っ黒になってしまいます。逆にシャッターを開かないと、写真にはなにも写りません。ちょうど良い明るさの光をフィルムに入れるには、シャッターの開き具合と時間(シャッタースピード)が大切なのです。

デジカメなどでは、この時間を自由に調整することができます。しかし使い捨てカメラの場合は、なるべく単純に作らなければいけないため、バネの力を使って、シャッターの開く速さを一つに決めています。

制御するのは、たった一つの、小さいバネだけ。カメラを作ったエンジニアの方々は、このシャッターの開き具合をうまく調整するためにとても苦労をしたのではないでしょうか。

バネを10円玉の上に乗せてみました。

バネを10円玉の上に乗せてみました。

さらにレンズとシャッターの下には、フィルムが隠れています。次は、フィルムを取り出してみましょう。

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使い捨てカメラの裏をパカッと開ければ、フィルムを取り出すことができます。

フィルムの周りについている黒いカバーに、ちょっと力を加えて外していけば、ネガが現れます。

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ピロピロ〜とネガフィルムを引っ張り出すことができました。

初めて見た使い捨てカメラのネガフィルム。ここにレンズで取り入れた光が焼き付けられるんですね。

ネガフィルムは、光が当たると「感光」するようになっています。
感光とは、光が当たったことにより、その表面が化学変化を起こすこと。現像液にこのネガフィルムを浸すことで化学変化を起こし、感光した部分がカメラで撮った風景が像となって現れます。

こうして、使い捨てカメラから写真が生まれます!

今回解体して、分解できた部品の数は、フラッシュ点灯装置を含めておよそ30個。
 これだけの数の部品が、あんなに小さなスペースに収まっていて、カメラの機能を果たしているのは驚きです。

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電池一本で大きな電気を生み出す装置が隠れていること。
小さなバネ一つで、シャッターを素早く開け閉めしていること。
なるべく少ない部品の数で、カメラの機能を実現していること。
そして、カバーを外しても写真が撮れること。

基本的に使い捨てカメラは、プラスチックで作られています。レンズもガラス製じゃないし、カバーだってメタリックじゃない。価格を抑えるため、安価な素材を用いているのだと思います。

少ない限られた予算の中で良いものを作ろうと、頭をひねりながら頑張って考えている方々がたくさんいる……まさに「工夫」の不可欠な世界!

普段目にすることのできない世界にたくさんの「工夫」が隠れていて、人知れず私たちの生活を支えているのを感じます。

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