バルカンに咲き誇るエシカルの華 バルカンエシカルムーブメントをフォロー

2013. 8. 6

エネルギー産業、農業に比して負けない力を持つ巨大産業の1つ、ファッション産業。力には責任が伴います。デザイナーや生産者たちがそのことに気づき、ファッション産業がもたらす環境への影響に対応を始めたのは、つい最近のこと。

世界各地でその動きが顕著になりつつありますが、バルカン半島も例外ではありません――毎日ゴミが増え続けているのに、非効率なゴミ処理とリサイクルシステムのまま。またサステナビリティについての教育もおざなり。この地域のファッション産業による環境への影響は、見過ごせるものではありません。

balkan

そんな中、このバルカン半島にもじわじわと明るい兆候が現れつつあります。それはリサイクルやヴィンテージファッションの台頭。バルカン半島のファッショニスタたちは、おばあちゃんの服を掘り出して身につけることがかっこいいと言うのです。これは、バルカン半島では未だかつてなかった動き。またモード派のデザイナーたちのグリーンなムーブメントも出てきました。「Henrietta Ludgate」や「Daniel Silverstein」といったエシカルなデザイナーも登場しています。今回は注目のバルカンエシカルムーブメントをご紹介します。

バルカン半島 エシカルの実情

バルカン半島にエシカルな動きが起こりつつある中、初のバルカン産ファッションのポータルサイト・Bastet Noirがオープン。このサイトのゴールは、若手エシカルデザイナーたちに発表の場を与えること。また、工場が若手エシカルデザイナーたちの仕事を引き受けたがらないという壁に立ち向かうことを掲げています。同サイトの設立者 Daniela Milosheska氏はこのように話します。

工場は端材を廃棄したがります。それは端材をあげたりすると税金を取られるから。ばかげた話だけれど、端材をリサイクルしても、工場にメリットがないのです。

バルカン半島ではエコな活動を行うメリットが少ない――その点に同意するのは、マケドニアのブランド「DRAMA」のオーナー・Ivana Knez。しかし、彼女がより問題視するのは、バルカン半島では良質な生地の需要も供給もないこと。

ほとんどの消費者は天然素材とポリエステルの違いだって分かっていません。自分にとっても環境にとっても、何が『良いもの』なのかを消費者に教えていくこともデザイナーの責任の一部です。

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バルカン半島総動員のSofia Design Week

今年開催5回目を迎えるSofia Design Weekも同様に質とエコについての注意喚起を目指しています。主催者サイドは、「近年、この地域のデザイン意欲の高さには最近まで驚くばかりでした。今年のSofia Design Weekは、バルカン半島の新しい波と出合えること間違いありません。ブルガリア、ルーマニア、トルコ、ギリシャ、セルビア、コソボ、スロベニア、アルバニア、モンテネグロ、クロアチア、マケドニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ。この地域のデザイナーたちは独創的でユニークなものづくりをしています」。

その1つがブルガリア人デザイナー・Nikolay Bozhilov。リサイクル素材を斬新に取り入れた、幾何学的でミニマルなフォルムのコレクションで表彰されたこともあります。「アイディアが受け入れられたってことだと思っている」と彼は話します。

デザイン性の高いコレクションでじわじわと注目を集めつつあるバルカン半島ファッションですが、薬物による汚染被害などの危険性も高いまま。この地域のほとんどの国はEUに加盟していないこともあり、EUが準拠する厳しい基準を守らなくてよいということも理由の一つに挙げられます。「エシカルでないことがふつう」の地域なのです。そんな中、エシカルな方向を向くこれらのバルカンムーブメントは、真にオリジナリティに溢れる服といえるのではないでしょうか。

This Article is Originally from...

Diane Small 'Blooming in the Balkans' ELUXE MAGAZINE , July 15, 2013

>> http://eluxemagazine.com/fashion/blooming-in-the-balkans/

(許諾を得て掲載)

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