【連載】United Peopleの映画のハナシ【全6回】

ごはんも映画も! おいしさは「誰と、どう食べるか」で、違ってくる

A Picture of $name アーヤ藍 2016. 9. 16

緊張する相手と一緒に高級レストランで食べても、ぜんぜん味が感じられなかったりするのに、大切な人が愛情をこめて握ってくれたシンプルなおにぎりがすごくおいしかったり。

気の置けない仲間と笑いながら食べると、ごはんって、とてもおいしく感じられる……。そんな経験がある人は、少なくないのではないでしょうか。

同じことは映画でも当てはまるんです!

いまや映画はとても身近なものになりました。

映画館だけでなく、レンタルDVD屋は日本の各地に存在し、ネットでデータ配信もされ、パソコンや携帯で手軽に見られるようになりました。NetflixやHuluを始め、定額で見放題のサービスもユーザー数を伸ばしています。

映画を、個人で「消費」しやすい環境が整いつつあります。

そんな時代に逆行するかのように、私たちユナイテッドピープルが力を入れているのが「市民上映会」。弊社が映画館で映画を流したり、自分たちで上映会を開催するのではなく、いわゆる「お客さん」側の方にDVDをお貸しし、さまざまな場所で上映会を開催してもらうのです。

参加者どうしで感想を言い合う 新たな視点との出会い

カフェやレストランのほか、会議室、学校、お寺、美容院、河川敷など多種多様な場所で上映されるのが特徴ですが、市民上映会のなによりの醍醐味は、参加者どうしの距離感です。

上映後に感想をシェアしている様子

上映後に感想をシェアしている様子

市民上映会の場合、映画の上映だけでなく、映画のテーマに関連したトークイベントや講演会があったり、映画にまつわるワークショップの時間や、参加者どうしでごはんを食べながら感想をシェアする時間なども設けられたりします。

そこでは自然と、初対面の人どうしでもコミュニケーションが生まれます。同じ映画を観た後なら、映画が話の肴になって、話も弾みやすいですね。

先日開催された、「くま美術店」主催の、映画『ヴィック・ムニーズ 〜ごみアートの奇跡』上映会後のワークショップの様子。 映画にちなんだアート関連のワークに、初対面どうしの参加者も一気に仲良くなっていました。

先日開催された、「くま美術店」主催の、映画『ヴィック・ムニーズ 〜ごみアートの奇跡』上映会後のワークショップの様子。
映画にちなんだアート関連のワークに、初対面どうしの参加者も一気に仲良くなっていました。

ふだん映画館に映画を見に行っても、隣合った人たちと話をすることはおろか、挨拶さえも、きっとすることはないでしょう。自宅でレンタルDVDやネット配信で鑑賞する場合も、自分一人で楽しむか、家族や友人数人と楽しむくらいではないでしょうか。

市民上映会の場合、映画が終わった後、新しい人との出会い、そしてその人を通じて、自分とは異なる視点や考え方との出会いが待っています。

特に弊社で扱っているような社会問題をテーマにした映画の場合、明確な「正解」がないからこそ、多様なバックグラウンドを持つ人と対話をすることに、おもしろさと大きな意味があると思っています。

SNSを通じて、どこでも気軽にオンライン上で連絡を取り合える時代になったからこそ、その反動のように「Face to Face(対面)」のコミュニケーションを求める人たちが増えている……そんなふうにも、さまざまな上映会に参加する中で感じています。

より多くの方にメッセージが広がっていくワクワク

市民上映会のもう一つの魅力は、映画を通じてメッセージの発信者と仲間が増えていくことです。

映画は普通、「観る」だけですが、それは「受け身」の形といえます。市民上映会は、さまざまな人に、映画に込められた思いやメッセージをより多くの方に伝えてもらう場であり、新しいコミュニティをつくり出してもらうプロセスであり、「発信者」や「クリエイター」になってもらうことでもあります。

映画の配給元である私たちだけでなく、もっと多くの人にいろんな場所から発信をしてもらう……。その仲間を増やせることが、市民上映会の大きな意義の一つだと思っています。

数年にわたり、定期的に市民上映会を開催している「銀座ソーシャル映画祭」での一コマ

数年にわたり、定期的に市民上映会を開催している「銀座ソーシャル映画祭」での一コマ

マナーはいろいろ みんながそれぞれ観賞しやすく

さらに、市民上映会“ならでは”なのが、鑑賞ルールの緩急をつけられる点です。

携帯はオフ、おしゃべりはしない、飲食も静かに、前の席を蹴らない……。最近はどこの映画館に行っても、上映が開始される前に「鑑賞のマナー」の映像が流れています。

それが映画の世界に入り込むためのマナーとして、映画館で求められることには賛成です。しかし、それがために、いつでも携帯をチェックしなければならない仕事の忙しい人には映画館で映画を楽しむのが難しかったり、小さい子どもがいる方にとっては、自分が観たい大人向けの映画を観に行きにくかったりします。

それが市民上映会であれば、もちろん、お互いに「気遣い」と「思いやり」は持ち合いながらも、もっと気軽に観やすい環境をつくれます。

2016年9月には、東京都板橋区の河川敷で上映会を行い、地元の幼稚園や小学生の子どもたちもたくさん、親御さんたちと一緒に遊びに来てくれました。

子どもたちには、映画の内容がやはり難しかったようで、すぐに飽きていましたが、河川敷の草むらで元気に遊んでいて、親御さんたちも、ときどき様子を見に立ってはまた戻り、映画をゆったり観ていました。

2016年9月2日、板橋区の小豆沢水上バス乗り場で開催された、第1回あずさわリバーサイドシネマ(映画『happy -しあわせを探すあなたへ』上映)。子どもたちを含め、100人近くの人が集まりました。

2016年9月2日、板橋区の小豆沢水上バス乗り場で開催された、第1回あずさわリバーサイドシネマ(映画『happy -しあわせを探すあなたへ』上映)。子どもたちを含め、100人近くの人が集まりました。

ごはんを、さまざまな場所、シチュエーション、ジャンルで楽しむように、映画にもいろんな味わい方があります。

映画館で観るおもしろさももちろんありますが、主催者のみなさんが、それぞれ趣向を凝らしたオリジナリティ豊かな市民上映会。

好みのレストランを探すように、ぜひ好みの市民上映会を探してみてください。

ユナイテッドピープル

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 ※関根の旅の様子について、深い話が知りたい方はぜひ!

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「市民上映会」に行ってみたい! 開催してみたい!

市民上映会に参加してみたい! という方は、下記に全国各地で予定されている上映会情報がまとまってます。ぜひチェックしてみてください。
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