母の姿と故郷の大自然を携えて オリジナリティが光るロシアの気鋭の新人デザイナーの「LANA SIBERIE」

2015. 3. 26

ロシアのファッションやスタイルが話題になる昨今。パリ、ロンドン、コペンハーゲンで発表を重ね、実力を高めてきた気鋭のロシアンブランドが「LANA SIBERIE」だ。ロンドンで学んだデザイナーのIulia Filipovscaiaは、自身の感性に素直に、そして自由に表現するのが特徴。その彼女に、クリエーションについて尋ねた。

LANA_SIBERIE_ANICCA_AW15_VESICA

―― ブランドを立ち上げた理由は?
母・Svetlanaがインスピレーションになっているの。ブランド名の「LANA」は、母の名前・Svetlanaから取っているわ。

私がセントラル・セント・マーチンズ(※イギリスのファッションの名門大学)でファインアーツのコースに通ってたある日、母に「何年も受け継がれながら、周りの人をハッピーにしていくものを作るのってどうかしら?」って、聞いたの。「確かママ、ティーンネイジャーの頃は自分の服を編んでたんでしょう?」って。

そしたら母は「ええ、そうよ」って。母は本当に反骨精神そのままのようなルックをよくしてるのよ。「Ann Demeulmeester」「Yohji Yamomoto」「Costume National」「Comme des Garcons」……そういったブランドをよく着てたわ。それらはいま、私が着てるんだけどね。小さい頃から、世界あちこちで服を買って帰ってきてくれるんだけど、それ着て学校に行くとよくいじめられてたわ。

そんな母のスタイルを、ずっとずっと愛される服に落としこんでいきたいと思ってるの。ちょうど、母が自分の家族、そして友人たちに服を仕立ててあげていたように、手作りの良さを大事にしているわ。

―― 2015年秋冬のコレクションについて教えてください。
このコレクションは、これまでの「気づき」の軌跡をまとめて表現したものになっているの。まず、素材を再利用すること。いままでの制作の過程で出た端切れや糸の残りなどを使用したの。次に、自然の恵みをありのまま使うこと。たとえば、ボタンじゃなくてアボカドの種を使ってみたりね。最後に、大地・自然・宇宙……スピリチュアルだけど、世界の調和について考えてみたことを取り入れてみたわ。デザイナーとしてやっていく中で気づいたこと、考えたことを詰め込んでみたのよ。

私が生まれ育ったのは、東シベリアの街・Mirniyというところ。ダイヤモンドが採れる鉱山街なの。とにかく目の前には海のように緑が広がっていて、文字どおり自然に囲まれて育ったけれど、同時に、自然がとても厳しいものだということもよく分かっているわ。いろんな表情を持つ自然が常に私のインスピレーション源になっているの。

природа

―― 例えばどういった「自然」をデザインに生かしていますか?
2012年に、小さなアートプロジェクト「Mineral Man」というのを開始したの。いろんな鉱物を人の顔に置き換えて写真に撮ったポートレートシリーズよ。スペインの出版社で書籍化したんだけれど、5月に出版されるわ。

ちょうど同じ頃、とても高度な技術を持つニット工場と出会うことができたの。それで「Mineral Man」と関連させて、初のプレタポルテコレクションになった2014年春夏は、大理石の柄をニットにしたのよ(写真)。おかげで大理石の美しさをそのまま編みこめることができたと思うわ。

秋冬コレクションは、同じパターンを使っているけど、もっとアース系のカラーで展開したわ。これは次のシーズンにも使ってみるつもりよ。平行して行っているいろんな活動を組み合わせることで一つの活動を次の活動へつなげていきながら、デザインとメッセージを深めていきたいわ。

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