キリストは死によって永遠を手に入れ、仏陀は生々流転を唱えました。今年新しく誕生したスペイン発のTシャツブランド「Efimero（エフィメロ）」は、2017年に「死ぬ」ことを約束したブランド。それにより、永遠の「生」を願います。
ファッションがアートになるとき
5年間の期間限定で展開される「Efimero」は、世界中から参加するアーティストが毎年のテーマに合わせて描いたアート作品をあしらったTシャツシリーズ。しかも1枚ずつ手でプリントされたものなので、一つひとつが世界に1枚だけ。シリアル番号入りのコレクターズアイテムとなっており、アート作品として楽しむことができます。
ブランドスタートの今年のテーマは「誕生」。スペイン、イギリス、ブラジル、ノルウェー、アメリカ、インドネシア、中国、日本……と、世界各国から参加した12名のデザイナーが「誕生」からインスパイアされた作品をプリント。各245枚ずつが毎年限定生産されます。
Author: Mogu Takahashi, JAPAN「Meow Family」（Acrylic Paint）、Price: 90€
Author: Talita Hoffmann, BRAZIL 「Oh Brother, where Art Thou?」（Indian ink and drawing）、Price: 90€
Author: Matthew Dent, U.K. 「We are All Friends」（Hand Drawing and photoshop）、Price: 90€
日本に在住していた経験もある「Efimero」のマーケティングディレクターによれば、寿命を5年にした理由は、次のような説明でした。
「自然に生けるものには全て寿命があります。現在、ヒトは平均しておよそ90年、ひまわりなら6カ月、ハエなら2週間生きることができます。5年の各年は、「生」におけるステージをそれぞれ表すことができます。誕生（2013）、幼児期（2014）、青年期（2015）、成人（2016）、死（2017）です」。
命は土より生まれ、土に還る
人は土から生まれ、土に還る、という思想から、土に還すことができる素材を採用。GOTS認証を取得したオーガニックコットンを使用しています。また、フェアトレード基準を満たしたインドの工場で生産を行い、スペインの工場でシルクスクリーンを施しています。プリントに使用されるインクもOEKO-TEX認証を取得したものを使用しています。
アートとファッションの融合は目新しいものではありませんが、このようにエシカル性を意識してアートとファッションを融合させた例は非常に新しいでしょう。
「近年、アートは消費されるものになってしまいました。また、多くのものを買い求め所有するほど、一つひとつのものの価値は下がってしまいました。人生において最も重要なものの一つは衣服です。アートとして希少性が高く、また環境・人への配慮のなされた価値のある商品を提供することで、責任を持ってものの価値を重んじるということができると思いました」。
Author: Emilio Lekuona、SPAIN「Born by Heart」（Collage）、Price: 90€
Caroline Selmes, FRANCE、「Mum Nature」（Digital）、Price: 90€
「Efimero」のオンラインショップにて現在販売中。
