家具職人と作ったからこそ生まれた 生活に溶け込みそっと変化していく「宗七音響」のスピーカー

A Picture of $name 奥田 景子 Photography: Courtesy of the brand 2017. 6. 7

いま音楽は、手軽にダウンロードして、電車や車の移動中、台所で料理しながらなど、いろんなシチュエーションで楽しめるもの。
一方で、レコードの味わいある音が見直されたり、カセットデッキが新発売されたり、音楽を聴くスタイルも多様になっています。

デスクトップでカジュアルに聴けるのに、音質も抜群のオーディオ製品を作っているメーカーが、富山県にあります。

フォトフレームよりちょっと大きいサイズの「宗七音響」のスピーカー。
小さくても、大きなスピーカーに引けを取らない音の良さに驚きます。



「宗七音響」を手がける株式会社TAM・経営企画室の末永祐士さんに、ものづくりのお話をうかがってみました。

実は、同社の母体は、電子機器関連のものづくりをしている会社。しかし、「音楽をもっと身近に、良い音で聴いてほしい。音楽の素晴らしさをもっと知ってほしい」という社員たちの思いから、スピーカーづくりを始めたそうです。

良質な音を出すには、どうしてもスピーカーは大きくなるもの。しかし、現代の生活に密着したスピーカーを作るべく、「生活の一部にある」をコンセプトに。なるべくサイズを小さくすることに決まりました。それでも、なによりのこだわりは「音」。

より良い音を求め、デザインや素材を検討していたところ、富山県黒部市に住む家具職人の倉井秀延さんと巡り会います。この出会いが、「model 216」誕生のきっかけになりました。

デスクトップパッシブスピーカー〈¥180,000+税〉
5cm径のScan Speak製ドライバを採用。出力音圧レベルは80dB、再生周波数特性は70Hz~20kHz。入力インピーダンスは8Ω。許容入力は10W。

倉井さんは、全ての家具を無垢材で作っている職人。当初は、違う素材を検討していたところ、倉井さんとの出会いを経て、見た目も美しく、経年変化を楽しめる無垢材にこだわることに。

しかし、無垢材にこだわったデザインを製品に落とし込むのは、ほかの素材よりも難しく、開発には1年半かかったと言います。

倉井さんが、「合板と違って、無垢材は動くんですよ」と。温度や湿度で伸縮したり木が反り返ったり。水を弾くウレタン塗装すれば経年変化は起こりにくいのですが、無垢材の持つ良さや味わいが半減してしまうんです。

いくら試行錯誤しても割れや反りが起こり、もう諦めようかと思いましたが、ものづくりをやってきた会社のプライドがあって……。もう一度、原点に戻って材質やデザインと向き合いました。

無垢材は動く。その「弱み」を、逆に生かせないか?

木の質感を損なわないオイル仕上げにこだわりました。また、ガッチリ動きを止めようとせず、動くことを受け入れて、遊びをもたせる設計に。デザインでは、柔らかさを演出する、フォトフレームがモチーフの丸みを帯びたものになりました。

そうして、家具職人の腕とデザインが少しずつマッチ。木材の持つ風合いや触り心地の良さ、そして良い音を保ちながら、使い続けられるデザインに仕上がりました。

音質面にもこだわって、ユニットはデンマークの高級ユニットメーカー・スキャンスピーク社のものを採用。組み付けも社内で行われ、ひたすら「良いものを作りたい」という思いが貫かれています。

いまの主流は、アンプが内蔵されているスピーカー。これは、アンプにつないで音が出るタイプのものなので、自分の好きなアンプとの組み合わせが楽しめます。USBでパソコンにつないだり、ラインで携帯音楽プレーヤー、CD、レコードプレイヤーに接続して使用したりなど、なんにでも対応できます。

そこで4月末には、同じ無垢材のアンプも完成。木の表情が楽しめるよう、ビスなどは背面についており、表面はシンプルなデザイン。

スピーカーもアンプも大量生産できない、ちょっとレアなアイテムです。

USB DAC 搭載ステレオプリメインアンプ〈¥90,000円+税〉

展開はいずれも、淡い色のメープル、温もりあるチェリー、高級感を感じるウォルナットの3種類。音楽を長く聴いていても疲れにくい工夫も嬉しい。

ウォルナット

メープル

チェリー

今後は、大きいサイズのスピーカーも展開する予定で、新たなチャレンジが始まります。

ずっと聞いていたい音楽とともに、ゆったりと変化していくスピーカー&アンプ。自然とともに変化していく木の風合いを楽しみながら、長く一緒に過ごしたい!

宗七音響

【website】http://so7.jp/

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