洗練の職人技術が光る逸品だけ! ストーリーも集めたオンラインショップ「Zady」が生まれたワケ

2013. 11. 7

性急な消費ではなく、長く愛すべきものだけをーーその力がある商品といえば、やはり一級の職人技術で作られたもの。職人さんのストーリー溢れる品ばかりを集めたオンラインショップ「Zady(ゼイディー)」が2013年8月に登場。

服のストーリーをしっかり伝えているところがミソ。衣服、ジュエリー、ギフト品など、さまざまな商品・ブランドのストーリーも楽しめるサイトとなっています。なぜその素材を選んでいるのか、どうやって作っているのか、はたまた地図を交えて、企業の所在地はどこにあるのかなども伝えるこのサイトは「コンシャス・ショッピング2.0」時代の到来を告げているよう。

設立者である2人の女性、Maxine BedatとSoraya Darabiに「Zady」を作ったワケを聞いてみました。

Toboggan Striped Jacked by Pendleton The Portland Collection

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―― Zadyを作ろうと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?
Soraya Darabi(以下、SD): 私とMaxineは高校時代からの友人だったのですが、「Zady」に取り組み始めたのは出会って数年後のことです。互いについて書かれた記事を互いに読んで、互いのやっていることに興味を引かれたので会おうということになりました。

Maxineはロースクールに通いながら、自分が立ち上げたNP0「The Bootstrap Project(以下、TBP)」に取り組んでいました。それは、途上国の伝統技術を再生させるプロジェクトでした。

Maxine Bédat(以下、MB): この頃、Sorayaはニューヨークのスタートアップ企業のアドバイザリーを行っていました。そのTBPに関連した出張があって航空にいたとき、彼女がカバーを飾っている雑誌を偶然見つけました。Sorayaに再会して、彼女にTBPのデジタル戦略に力を貸してくれないか? と聞いてみたのですが、その後数カ月間話し合う中で、2人で次のことに気づいたのです。

1. 私たちは共にお互いのことが今もぜんぜん大好きだってこと!
2. 私たちは互いに補い合えるスキルを持っていること。
3. 私たちは共に、サプライチェーンのあり方にどんどん関心を寄せるようになっていて、また同時にいかにものづくりが美しいかに感動するようになっていたこと。

私たちは、ファストファッションの負の影響についての記事のほか、美しいものづくりの背景を持つ商品の情報を交換し合うようになりました。そんな中、「Zady」の構想は生まれたのです。世界中からストーリーのたっぷりつまって、美しいものづくりをされた商品をキュレーションしていこう、と。

TBPも、伝統技術の再生とその経済的な発展を願うプロジェクトです。そこで、売上の5%をTBPに還元するかたちにしました。途上国の美しい技術を保全し、その土地で大事に受け継がれてきた伝統的な文化を伝えていくための資金になります。

Paneled Crewneck Sweatshirt by Cotton Citizen

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―― 他のオンラインショップと特に違うところはどんなところでしょうか?
MB&SD: 8月のリリース以来「Zady」は、いつの時代にも褪せることのない魅力を持つ商品を求めるお客さまにご愛顧いただいています。そうしたお客さまは、どのようにして商品が作られたのかにも非常に高い関心をお持ちです。

たとえば、地図をクリックすると地図上に線が引かれていて、どのような道をたどってこの商品がここまで来たのかがひと目で分かるようになっています。

「Gloverall」のダッフルコートを見てみましょう。イタリアから伸びている線を見ると、素材のウールがイタリアから来ているのだと分かります。もう一つの線はイギリスから伸びており、ブランドのオフィスがイギリスにあると分かります。同時に、生産もイギリスで行われているのだとも分かります。サプライチェーンを可能な限り可視化しようとしています。

Screenshot from http://zady.com/

Screenshot from http://zady.com/

それに私たちはデジタル世代でもあります。デジタル技術を生かして、お客さまとブランドの距離を縮めていきたいのです。そしてブランドを愛してほしい! ソーシャルメディアは、メッセージを届けるうえで私たちが重要視しているツールの一つです。

Messenger Bag by Claire Vivier

Messenger Bag by Claire Vivier

―― 取り上げるブランドはどのようにして選んでいるのですか?
MB&SD: まずはやっぱり、おしゃれかどうかが第一ですね。上質な作りをしていること、そして飽きない洗練されたデザインのものであるかどうかです。10年後も着たいと思えるものであることが重要です。

次には、情報をしっかり開示する姿勢を持っているかどうかです。どこに本社を置き、どこで製造し、原材料はどこで調達しているのかなどの情報を開示する企業しか取り上げません。

そして最後に、サイトに挙げているいずれかのカテゴリーに当てはまる企業ですーー①上質な材料を使用している、②地域の素材を活用している、③Made in USAである、④環境に配慮したものづくりをしている、⑤ハンドメイド、⑥BTPに加盟する職人が作っている。

Screenshot from http://zady.com/

Screenshot from http://zady.com/

―― Zadyは、地域を大切にし責任を持ったものづくりをする商品を求める人々の期待に応えられている、という手応えはありますか?
MB&SD: Whole Foods(ホールフーズ・マーケット)が食の安全を求める動きを加速させたように、「Zady」も責任あるものづくりを訴える運動の先鋒に立っていると思います。商品の背景の透明性を求める動きは「コンシャス・コンシューマーリズム(「配慮する消費」)」と呼ばれていますが、人々がお買い物に求める新しい視座だと思います。つまり、品質を真に理解し、その起源・由来を知ること。性急な消費ではなく、じっくり味わえる商品を支持することです。現在、25億ポンドもの衣服が埋め立て地に投げ捨てられています。性急な消費に対応できる土地は、この地球には残っていません。

安価で性急な消費には当然ツケが回ってきます。品質は良くありません。ゴミもたくさん出ます。製造する人は危険でひどい労働を強いられます。「Zady」は、そうした消費に代わる商品を提供します。

試しに、自分のおじいさん、おばあさんのクローゼットを覗いてみてください。きっと、時代を生き延びてきた何十年も前の洋服が見つかるはずです。

なぜ、生き延びることができたか? それは、きちんとした素材を用い、確かな腕前の名もなき職人たちが一つずつ丁寧に作ったからです。おじいさん、おばあさんは何十年もかけてクローゼットの中身を育ててきたのですね。これからの世代は、そうした商品を味わうという楽しみを失うかもしれない危険にさらされていると言えるのではないでしょうか。

Nesika Dress by Pendleton The Portland Collection

Nesika Dress by Pendleton The Portland Collection

This Article is Originally from...

Leena Oijala 'ZADY: AN ARTISAN-POWERED PLATFORM FOR SOCIALLY CONSCIOUS SHOPPING' ECOSALON , October 30, 2013

>> http://ecosalon.com/zady-artisan-powered-platform-socially-conscious-shopping/

(許諾を得て掲載)

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